「なんで勉強ってするんだろう?」「勉強しなくても生きていけるし、やらなくていいんじゃない?」
誰しも一度はこのような事を考えたことがあるのではないでしょうか。
この記事では池上彰著:「なんのために学ぶのか (SB新書)」を読んだ僕が、本の要約や読んだ感想と考察についてお伝えします。
最後まで読んでいただき、「学びとは何か」という問いの答えを見つけてみてください。
- なぜ学ぶのか、答えを探している方
- これから何かを学びたいと思っている方
- 子どもに学ぶ意義を教えたい方
目次
「なんのために学ぶのか」の紹介
本書はノートルダム清心女子大学で行われた池上彰さんの講演録をもとに作成されています。
著者の幼少期からNHK、独立後の経験をもとに「学ぶとはなにか」「どこから学ぶのか」についての答えが記されています。
池上彰さんといえばわかりやすいニュース解説でおなじみの方で、現在はメディア出演しつつ名城大学で教授を務めるなど精力的に活動されています。
池上さんらしいユーモアあふれる文章がとても印象的で、タクシーの運転手に「警視庁」を「錦糸町」と間違えられた話は「たしかにありそう」と思いながら楽しく読ませていただきました。
「なんのために学ぶのか」要約
3行で要約してみました。
- 学びとは教養であり、基礎知識を身につけることで将来大きな成果を出すためのきっかけになる
- なるべく早いうちに挫折や失敗を経験し、成長につなげる
- 生きるということは学び続けるということ。自身の失敗や本、就活などあらゆることから学び、そこから知識を広げていくことが大切
本書ではなぜ、何を、どこから、どうやって学ぶのかという点について池上彰さんの経験や知見を踏まえて解説されています。
「学び」というと算数や理科などいわゆる学校で学ぶものという印象がありますが、本書ではそれに留まらず音楽や論述など、いわゆるリベラル・アーツに焦点を当てている点が特徴です。
また、池上さんが人生において影響を受けた本にも触れられています。本書をきっかけに、さらに学びを深めるための本を知ることができるので、興味のある方はぜひご一読してみてはいかがでしょうか。
「なんのために学ぶのか」感想
学ぶことの大切さを教えてくれる本でした。
一見無価値に見えるものが、将来有機的に組み合わさって大きな成果の種になる。今学んでいることが無駄ではないと思わせてくれます。
僕はこの本を読んで、大学へ進学した際地元の友だちに「なんで大学行くの?すぐ就職してスキル磨いたほうがお金も稼げるしよっぽど役に立つじゃん」と言われたことを思い出しました。
当時は明確に反論できませんでした。今ではなんとなくの答えは持っていたものの、それが正しいのかが判断できていなかったです。
しかしこの本を読んでから、学びとは人生の土台であり、財産であると知りました。その土台は将来より大きなことを成し遂げるために必要なものであり、小手先のスキルや入れ知恵とは異なる。
今まで学んできたことは決して無駄ではないと思えた瞬間、心が少し救われたような気がします。
目標に向かって勉強している人、勉強なんて意味ないよと思っている人にはぜひ読んでもらいたいです。
できれば、大学性の自分にこの本を読ませてあげたいです(もっと真面目に勉強しろという意味で)。
ただ、ちょっと自分の経験語りが多いのは池上さんらしさがあっていいのですが、少し重たく感じるかもしれません笑。
「なんのために学ぶのか」考察
「なんのために学ぶのか」を読んで、特に印象に残った点について掘り下げてみます。
学ぶとは教養である
本書ではすぐに役立つような実践的な知識ではなく、基礎科目や芸術などリベラルアーツについて学ぶことの重要性を説いています。
「ただそれって実際役に立つの?」って思う気持ちあると思うんですよね。僕も学生時代はそう思っていました。美術とか絵描けなくても生きてけるじゃんって。当時この本を読んで美術めちゃくちゃ頑張ったか、と言われたらちょっと怪しい気がします。
この疑問について僕なりに答えを出すとしたら、「より上を目指すのであれば役に立つ」だと思います。本書でも書かれていますが、海外で成果を出している経営者のパーティでは絵画や音楽についての会話が日常的に行われています。
僕の経験上、これは海外のみならず、国内でも経営者やリーダー層など一流のビジネスマンは同じ傾向があると感じています。
教養は大きな成果を残すための材料にもなるし、一流の人と対等に会話するためのネタ作りにもなる。
という意味で学ぶ=教養を身につけるということは重要なのかなと。
最初の学びは何でもいい
そうは言っても「先のことなんてイメージできないし、そこまで求めてない」「役に立つかもしれないではなく、役に立つ知識を得たい」と思う気持ちはどうしても出てしまいます。
ゆべ
僕もこの本を読み終えて「今日から美術を勉強するぞ!」とはなりませんでした。
ではどうするか。僕は、まずは自分の興味あるところから手をつければいいと思います。
人間興味のあることしか長続きしないですし、仮に学ぶ対象が教養とは違うものだとしても、それ自体はどこかで役に立つ可能性があるからです。今勉強していることは無駄じゃない、そう思って何かに熱中したほうが絶対に役に立ちます。
ゆべ
「好きこそものの上手なれ」ですね。
そこで得た知識から勉強の対象を広げていき、だんだん興味を持って勉強したほうが心理的にも楽ですし、理解のスピードも早まると思うんですよね。
僕は元々エンジニアだったのですが、今の仕事に転職したときは得意のプログラミングを活用し、統計学やデータ分析の勉強をはじめました。
得意分野から勉強の幅を広げていったので、あまり苦にはならなかったのを覚えています。
前職の知見がなければもっと苦労していたと思います。学びを学びにつなげていく、これこそが学びの醍醐味であり、一番ワクワクするところではないでしょうか。
思考を回そう
本書ではショウペンハウエル著:「読書について」より下記の文が引用されています。
読書は、他人にものを考えてもらうことである。本を読む我々は、他人の考えた過程を反復的にたどるに過ぎない。(中略)実は我々の頭は他人の思想の運動場にすぎない。そのため、時にはぼんやりと時間をつぶすことがあっても、ほとんどまる一日を多読に費やす勤勉な人間は、次第に自分でものを考える力を失っていく
池上さんは「この表現は衝撃的だ」と記していました。学んでいるつもりが、何も考えていなければ学びになっていないと。ただ勉強したつもりになっているだけで、逆に退化してしまっているというのは悲しいですね。
知識を定着させるためには、得た知識を自分の言葉で整理し、それをアウトプットすることが重要です。
日本人はインプットを重要視する傾向がありますが、個人的にはアウトプットのほうを大事にしています。
アウトプットする際は自分の考えもセットにするのですが、ちゃんと理解していないと発信できないので、結果的に知識の整理に繋がります。
ちなみに、僕はSNSやブログ、noteをアウトプットの場として活用しています。日記でもよいのですが、ソーシャルに書き出せば周りからの共感やコメントがもらえることもあり、新たな知見が得られるのでオススメです。
ゆべ
この記事を書いているのは本の良さを広めたいと同時に、自身の知識定着という目的でもあります。感想もらえると嬉しいです!
アウトプットに関しては「アウトプット大全」を参考にしています。
アウトプットを意識したいという方は一度手にとって読んでみてください。
挫折は早いほうがいいが、遅くてもいい
本書では挫折は早いほうがいいと記されており、大人になると心が折れることを理由に挙げています。
元々大学生向けに書かれた内容なので早く挫折しよう、と書かれている節はあると思いますが、僕は大人でもどんどん失敗すべきだと思っています。
人間は失敗や挫折など、人生における大きな経験のほうが学ぶことは多いですし、その後の行動も変わりやすいです。大人になったからといって守りに入ってしまうと学べることが少なくなってしまうので、どんどんチャレンジして、失敗して、そこから学ぶサイクルを年齢関係なく回すべきではないでしょうか。
けど、もしかしたら心が折れてしまうかもしれません。そうならないために、仕事だけでなく、家族や趣味など、心の拠り所になるものを複数持っておくことが大切です。
仕事がうまくいかなくても家族が支えてくれたり、趣味に没頭することで心の平穏を取り戻す環境を整えておく。よりチャレンジしやすい環境を作ることは、自身や家族を守るという意味でも非常に重要です。
まとめ
「今自分がやっていることが意味があるのか?」と考えている人へ、それは決して無駄なことではありません。その経験は間違いなく人生における財産であり、役に立つ時が来るはずです。
どんどんチャレンジして、どんどん失敗し、新しい知見を手に入れましょう。そして知見を組み合わせて新たな価値を創り出しましょう。
チャレンジしている自分に不安を覚えた方は、ぜひ本書を読んでみてください。自分のやっていることが間違いでないと思えるはずです。
1 件のコメント